Leave a prove
俺は友里に言われて初めて自分の汗の量に気づいた。

確かに着ていたゲームシャツは俺の汗で綺麗に張り付き、顔からは滴り落ちるほどの量の汗が出ていた…。

「多分大丈夫だろ…一晩寝れば、疲れなんて吹き飛ぶさ」

「多分じゃ困るんだけどね。しっかり頼むわよ…キャプテン♪」

友里はそう言うと、引き込まれるような笑顔で、俺に言ってきた。真紀とはまた違う、見ている人間を引きつける笑顔で…。

「…おう。やってやるさ…」

俺は友里から視線を外し、空を見上げながら、そう呟いた。そうでもしないと、友里の眼に引き込まれてしまいそうだったから…。

不覚にも…凄く綺麗だと思ってしまったから。

俺はこの後、自分のかいた汗が急に気持ち悪く感じ、スポーツバッグからタオルを取り出し、汗を勢いよく拭いたんだ。

友里はそんな俺の様子を見て、部室の中に入って行き、何かの準備をしていた。そして、俺の元に来ると、ドリンクを差し出した。

「そんなに汗かいたら、喉乾くでしょ?試合用のやつだけど、飲んで。少しだけなら、対して変わらないから」

「悪いな。遠慮なく貰うよ…みんなには内緒な?」

正直喉が異常に乾いていたのもあり、俺はすんなりと友里からドリンクを頂く事にしたんだ。

「ふふっ…二人だけの内緒ね?」

「あぁ。直輝にバレたら、何言われるか分からないからな」
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