Leave a prove
俺はベンチに腰かけ、レガースを装着し、靴ひもを結び直していると、準備が終わったのだろう友里が話しかけてきた。

「そう言えば神崎君、昨日はちゃんと真紀ちゃんと一緒に帰ったの?」

「うんっ?帰ったよ。俺の家とは途中で逆方向になるから、そこまでだけどな」

昨日は、真紀と一緒に帰ったと言えば帰ったのだが…良く考えれば、真紀はいつもよりも無口だった様な気もするな。

俺の話しを笑顔で頷きながら聞いてはいたが、いつもよりぎこちない感じではあった気はする。

「そう…ちゃんと真紀ちゃんを大切にしてあげてね。女の子は、愛されている実感がないと、不安になっちゃうから」

友里は、なんだか少し考え深く言うと、俺の眼を見てそう言ってきた。

「そうなのか。出来る限りの努力はするよ…後でな」

俺は靴ひもを結び直し、みんなより、一足先に列に並ぶと、軽く体を動かしながら、試合が始まるのを待った。

直輝や他の面々が集まり、審判団が集まると、列を先導し、グラウンドの中央に集まる。

主審が諸注意を話した後、俺達は互いにあいさつを交わし、所定のポジションに着くと、主審のホイッスルを合図に、試合が開始された。

相手ボールから始まった試合だが、開始早々に試合は急展開を迎えた…。

ゾーンプレス。

絶対的な運動量で、相手にボールを持たせない。軽いプレッシャーは一切かけず、ボールを持たない状態で、相手を追い込むのだ。

最初は相手にボールを回されて、回避されるものの、そんなのは余裕があるうちだけだ。徐々にパス回しが通らない位置にプレッシャーをかけ、最終的には、相手エリア内で、ボールを奪う事に成功する。
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