Kiss Kiss Kiss
聞こうと思ったけど、その日は先生のケータイに電話が入り、とんでもないセリフと一緒にここを去って行ってしまった。
「すみません、秋山さん。ちょっと族の方に行かないといけない用事ができたので、今日はここで失礼します。」
…………族!?
な、何それ!
族って暴走族のこと!?
いや、ないよね…高校の先生が暴走族なんて…
うん、きっと何かの聞き間違いに違いない。
そう自分に言いきかせて、榊原親子が帰った後、真相を確かめるため、パパに聞いてみた。
「あぁ…。あいつは龍星群って族の総長してんだよ。基本的にあいつ自身は喧嘩なんてしないけどな」
うわぁ…やっぱりそうなんだ…
あの美形が総長なんて、想像つかないな…
なるべく近づかないようにしようと心に決めて私は眠りについた。
だけど、この時にはもう先生の思惑通りに進んでいたなんて、考えもしなかった────