イジワルな恋人
【第六章】 恋敵
【亮SIDE】
空を見上げると少し多い雲が青空を隠していた。
少し戸惑った様子で車に乗り込んできた奈緒が、微妙に目を逸らしながらぎこちなく笑う。
「……おはよう」
落ちつかない様子で外に目を向ける奈緒を横目で見る。
少し顔を赤らめながら外の景色を見つめる奈緒の横顔は、明らかに昨日のことを気にしているようだった。
……こいつ元々男嫌いなのに。余計ビビらすようなことしてどうすんだよ……。
あの時、つい口にした自分の言葉に、今更ながらいため息をついた。
「どうかした?」
俺のため息に気付いた奈緒が、遠慮がちに声をかける。
奈緒は戸惑いながらも、心配そうに俺を見ていて。
俺もそんな奈緒を見ていた。