イジワルな恋人
……こいつが俺と一緒にいるのは、あくまでも付き合うフリをしているだけで。
別に俺のことがどうこうって訳じゃねぇんだよな……。
それに……、
誰も好きにならないって言い張ってるし。
何か理由があるんだろうけど……
多分、俺も例外じゃねぇ。
……やべ。イライラしてきた。
俺ばかりが奈緒のことを考えているみたいに思えて、気持ちを苛立ちが支配し始める。
「……別に」
八つ当たりするように冷たく言うと、俺は自分から視線を逸らした。
俺には、昨日の奈緒の言葉の続きが、とてもじゃねぇけど、いいモンだとは思えなかった。
……それなのに。その時の、昨日の奈緒の顔が、頭から離れなれなかった。