イジワルな恋人
「……亮?」
腕の中で奈緒が小さな声で俺を呼ぶ。
「……おまえずるいな。
俺の事好きじゃねぇくせに、思わせぶりな事言いやがって……」
「……」
奈緒は、言葉を探して戸惑っているようだった。
そんな奈緒に、抱き締める腕に力をこめる。
「……でも、それでもいい……」
……少しでも、俺と離れたくないって思ってくれたんなら。
俺を必要としてくれてるんなら。
それでいい―――……。
奈緒の心臓が忙しく動いているのが俺にも伝わってきて、小さく笑みを零す。
そして、奈緒の耳元で白状する。
「……俺、お前に惚れたみてぇ……」
もう、無視できない気持ちを、奈緒に伝えた。