イジワルな恋人
【第八章】 恋心
「じゃあ行ってきます」
元気に玄関を開けると、眩しい光が目の前に広がった。
空一面の青空に顔が緩む。
「おはよ! 晴れてよかったね」
門の前で待つ亮に笑顔で声をかけるも……。
「……やっぱありえねぇ」
あたしとは反対に、不機嫌な亮が文句を言う。
――その理由は、昨日にさかのぼる。
それは昨日の帰りの車の中でのこと。
「ね、明日は歩いていかない?」
「……は?」
明らかに面倒くさそうに答えた亮に、笑顔を返す。
「だって体育祭だよ? 準備運動がてら歩いていこうよ」
「……」
「……じゃあいいよ。あたし、明日は歩いて行くから亮は車で……」
「……くよ」
「は?」
「行くっつってんだろ!」
……って、自分で行くって言ったのに。