イジワルな恋人
少し膨れながら見つめる先で、亮は不機嫌そうに門に寄りかかったまま……動こうとしない。
「そんな怒るなら亮は車で行けばいいじゃん」
ため息をついてから、亮を置いて歩き出す。
……たまには歩きだっていいじゃん。
本当におぼっちゃまなんだから。
「……おまえ一人じゃ心配なんだよ」
不意に聞こえた声に止まると、亮があたしの手から荷物を取り上げて追い抜いていく。
「あ……」
荷物……。
あたしは、スタスタ歩く亮の後ろを追いかける。
「……俺だって必死なんだよ。おまえを振り向かせたくて」
「……っ」
顔が赤くなるのが自分でもわかった。
その顔を亮に見られたくなくて、学校に着くまで亮の後ろをうつむいて歩いた。
途中不思議に思った亮が何回か振り向いたけど、気付かない振りをした。