イジワルな恋人
「なんか注目されてる……」
校門に入ると、周りからの視線が矢のように身体中に刺さる。
「おまえのせいでな」
あたしのせいって、……あ。亮が歩きで来たから?
っていうか、どんだけおぼっちゃまなの……?
注がれる視線の中、呆れてため息をついた。
「あ、亮ここでいいよ」
下駄箱で靴を履き替えたところで、亮から荷物を受け取ろうと手を差し出す。
なのに亮は、そのまま一年の教室に向かって歩き出した。
「教室まで持ってってやるよ」
「えっ、亮?!」
クラスまで一緒に行ったら、絶対に注目の的だ……っ。
そんなの……、はずかしすぎる……。
「亮、注目されちゃうから……」
「……だからだろ?
悪い虫が寄りつかないようにしとかねぇとな。他の男に持ってかれたらシャレになんねぇし」
口の端を上げて笑う亮に、顔を熱を持つ。
……亮、昨日からおかしいよ。
亮の後ろを、恥ずかしくなりながらうつむいて歩くと、廊下に入った途端に視線が集まる。