イジワルな恋人


「……っ、そんなの亮が勝手に……っ、…やっ、ダメだってば!!」


耳のあたりにあった亮の顔が離れる。

そして、今までにないような至近距離であたしを見つめた。



「……奈緒、好きだ」

「……―――っ」


真剣な亮に、熱のこもった瞳に、胸が高鳴る。


目の前の亮から目が離せない……。

亮の瞳を、逃げずに見つめ返して……自分の気持ちを、見つけた。



……あたし、亮が好きだ……。


亮の二度目の告白に、真剣な表情に、自分の中に存在する気持ちにやっと気付いた。


それは、ずっと前からあったみたいに、当たり前のようにあたしの中に存在していた。


……無意識に、気付かないようにしていた気持ち。

気付きたくなかった気持ち……。


だけど、もう……

気付いた気持ちは、消す事なんてできない。




あたし……、



亮が好きなんだ―――……。




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