イジワルな恋人
【亮SIDE】
告白の後、俺を見上げたまま何も言わない奈緒を、俺も黙って見つめていた。
困ったような瞳に、少し涙が浮かんでる。
……またこの顔かよ。
こいつ、わざと誘ってんのかな……。
……やべ、理性が……
飛ぶ―――……。
再び奈緒にキスしようと顔を近づけた時。
後ろから声をかけられた。と、同時に頭に軽い衝撃が走る。
「校内で発情すんな」
何かで頭を殴られて、振り向いた先にいる奴を睨みつける。
「桜木は注意受けるの4度目だけな。
後1回受けたら一週間罰掃除だけど?」
「……」
後ろに立っていたのは、三年の風紀委員長、中澤 誠だった。
喧嘩っ早さと家柄だとかから三年にも敬遠される俺に、唯一普通に注意してくる男。