イジワルな恋人
「……亮、自己中のくせに、最近優しいから調子狂っちゃうよ」
笑いながら見上げた先にあった亮の真剣な顔に気付いて……
あたしも黙って亮を見つめた。
「……相手がおまえだからだろ?」
亮の低い声が、あたしの胸を締め付ける。
そして、初めてあの事件を自分の口から話した。
三人の亡くなった原因が、火事だったこと。
火事が放火だったこと。
あたしに想いを寄せていた男が犯人だったこと。
動機が……、あたしと中澤先輩の交際だったこと。
……全部を話した。
一つ話すたびに、あの時の映像が頭をよぎって……言葉を奪おうとする。
それでも、必死に言葉を探して話し続けた。
……無意識に涙が流れてた。
言葉にするのは思った以上につらくて……
でも、どこかほっとしたような、不思議な気分があたしを包んでいた。