イジワルな恋人
「ちょ……ちょっと待って!
今、言ったじゃん……。もう恋とかはしないって決めたの。
……全部、あたしのせいだから……」
表情を曇らせながら言ったあたしに、亮は小さくため息をついて、顔を離した。
「……つぅか、それ、なんで奈緒のせいなんだよ。
犯人は“川口”だろ?」
「だけど……あたしが先輩と付き合わなければ……。
あの日、一緒に帰らなければ、こんな事にはならなかったもん……。
原因を作ったのは、あたしだもん……」
あたしの目にまた涙が浮かんでいるのを見て、亮が真面目な顔をしてあたしを見つめる。
「……おまえの家族は恨んでなんかねぇよ。
……でも、見損なってるんじゃねぇ?」
あたしは目に涙を溜めたまま、うつむいて亮の言葉を聞いていた。
……真剣な顔をしている亮を、見ることが出来なかった。
亮が話そうとしていることは……、
きっと正しいことだから……。