イジワルな恋人
「おまえが今してる事、おまえは報いのつもりかもしれねぇけど、死んだ家族にしたら迷惑だろ。
自分のせいだって自分を責め続けて、おまえが不幸になるのを誰が望んでんだよ。
それを死んだ家族のためなんて言われたら、おまえの両親も兄貴も死にきれねぇよ。
おまえに、そんな恩着せがましく生きられたら、たまったもんじゃねぇだろ」
「……っ、…」
「……おまえの家族がおまえにして欲しいのは、そんな事じゃねぇよ。
……おまえだってわかって」
「わかってる……」
亮の言葉を、遮る。その声が震えてた。
「あたしだって、わかってる……っ!
みんながあたしの事恨んでないことぐらい、分かってる……っ。
だけど……っ、あたしは許せない……。
みんなが苦しんでた時、何も知らずに笑ってた自分が、許せないよ……っ。
あたしのせいでみんなが苦しんでたのに……っ、なのに、あたしは……、」
あたしの涙が、中庭に敷き詰められているコンクリートに落ちる。
落ちる涙の数だけ、コンクリートの色が暗く変わっていく。