イジワルな恋人
「……あいつのどこがいいんだよ……。
去年なんか、手がつけられないほどに荒れてて、女関係もひどかった。
あいつと居たって、水谷は幸せにはなれない。
泣かされるだけだ」
先輩の言葉に少し動揺して……、でもすぐに先輩を見つめ返した。
「……前の亮はよく知らないけど……、だけど出会ってからの亮はよくわかります。
確かに評判はよくないけど、すごく優し……」
言葉の途中……突然、先輩があたしの腕を掴んで引き寄せて。
……そのまま抱き締めた。
「……俺は三年間ずっと水谷を見てきた。
傍で支えてやりたかったけど、俺が傍にいる事で事件を思い出させると思ったから、なるべく関わらないようにしてた……。
だけど……、ずっと水谷を想ってたよ。
ずっと、好きな気持ちは変わらなかった―――……」
「……―――」