イジワルな恋人
【第十一章】 元カレ
中澤先輩の言葉が、冗談じゃない事は分かった。
……嘘をつくような人じゃない。
先輩は……、
軽い気持ちでこんな事……、告白なんかしない……。
三年前の先輩の告白が蘇って、胸を締め付ける。
動けないでいるあたしに……、先輩の抱き締める腕に力がこもる。
そんな先輩に戸惑って……。
「……先輩、あたしは―――……」
『亮が好き』
そう伝えようとした。
……でも、声がでない。
三年間も想い続けてくれた先輩を……、
あたしと同じように、ずっと自分を責めてきた先輩を……、
あたしのために、三年間も待っててくれた先輩を……、
あたしは、裏切るの……?
そんな事が、許される―――……?