イジワルな恋人
【奈緒SIDE】
「そういえばね、体育祭の打ち上げ、明日の放課後になったんだって」
食べ終わったお弁当を片付けながら言う。
気持ちのいい青空と、心地いい暖かさをくれる太陽が屋上の空気を包み込む。
「あー、そういやそんな事言ってたな。おまえでんの?」
亮の面倒くさそうな表情に、あたしは笑顔で頷く。
「うん。でるよ。楽しそうだし」
「……そうか?」
「あ……、そうだ。あのね、あたしの友達が、誰か男の子紹介して欲しいって言うんだけど……誰かいない?」
友達がいるのか微妙な亮に気まずく思いながら聞くと、亮がチラっとあたしを見る。
「友達って……梓?」
出た名前に、あたしはびっくりして亮を見つめた。
「なんだよ」
何も言わないでいると、亮に怪訝そうな声を出される。
「ううん。亮、なんで梓の事知ってるのかなって思って……」
「おまえ、前話してたし。おまえが貧血で倒れた時ちょっと話した事もあるし。
それに、いつも一緒にいるから目に入るんだよ。……おまえ見てると」
「……っ」
顔が赤くなる。ストレートな言葉に、胸が跳ねる。
当たり前みたいに言った亮に、嬉しくてドキドキして……頭の中に「告白」の言葉が浮かび上がる。