イジワルな恋人
【第二章】 約束


【亮SIDE】


授業開始のチャイムが鳴るのを、今日も屋上で聞いていた。

昨日と同じように仰向けになって、空を眺める。

左頬に感じる違和感に指を伸ばすと、あの女にもらった絆創膏が指に触れた。


……―――ったく。なんで俺が知りもしない女の後を追って殴られなきゃならねぇんだよ。

そう思うのに、ふと女の今朝の笑顔が頭に浮かんで、苛立つ気持ちを抑え込む。

礼の言葉と一緒に向けてきた、素直すぎるほどの笑顔。

昨日は怒った顔しか見せなかったのに。

あんな顔もするんだな……。

まぁ、彼氏だとかの前でも怒りっぱなしとかありえねぇしな。笑うぐらい当然か。


彼氏……誰か特定の男がいるんかな、あいつ。

知らない男に笑いかけるあいつの姿が頭に浮かんで……、後からそんな想像するんじゃなかったと後悔する。

自分で勝手に想像したくせに、イライラする気持ちが胸を焼く。


……―――くそっ! 


だからなんなんだよ、昨日からっ。

ちょっと可愛いだけの普通の女だろうが。なのに……。


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