イジワルな恋人


浮き沈みの激しい気持ちが余計に苛立つ。

昨日初めて会ったのに、ペースを崩されっぱなしの自分に気付いて、面白くない気持ちにさせられる。


……女の後追いかけたのなんか、初めてだし。

必死になった昨日の自分を思い出すと、らしくない自分に呆れ笑いが零れた。




「ねぇ、今日帰りどっか行こうよー。

一回遊んだきり全然遊んでくれないんだもーん」


昼休みになると、昨日とは違う女が付きまとわってきた。

語尾を伸ばして甘えるように言う女を振り返るも、顔を見たところで名前すら思い出せない。

繰り返し関係を持つと変に勘違いするんじゃねぇかっていう考えから、呼び出す女は毎回代えていた。

利用すんなら一度限り。

一度遊んだなら、もう。


「……しつけぇな。話しかけてくんな」


一回遊んでやったくらいでいい気になるな。


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