イジワルな恋人
「でももう仕事覚えたがら佐伯に教わることもねぇしな」
「えっ……もう覚えたの?」
亮がバイトを始めてから、まだ二週間。
出勤したのはたったの3日なのに?
「まぁな。俺頭いいし、要領もいいからな」
嫌味ともとれる言葉も、亮が言うとなぜだか頷いてしまって、疑う余地もない。
それにしても、もう全部の仕事を覚えたなんて……。
感心しすぎて、言葉もでなかった。
亮が仕事を覚えたことで、佐伯さんはコーチャーから外れて、シフトがいつも一緒ではなくなった。
その事に内心ほっとしていた。
店長は、『佐伯のコーチでよくここまで仕事を覚えたなぁ』なんて感心してた。
『まぁ、あんな奴だけど、仲間だし仲良くやってくれよ』
店長の言葉に、香奈ちゃんと亮は頷かなかった。
それを見て……、店長とあたしは吹き出した。