イジワルな恋人


佐伯さんのいない日のバイトは本当に穏やかで、いつもこうならいいのに、って思わずにはいられなかった。


やっぱり佐伯さんと一緒にいる亮は見たくなかったから。


亮にその気がなくても……、

やっぱり気になる。


こんなに一緒にいても、

バイト始めたのがあたしと一緒にいるためだってわかってても。


それでも不安になるなんて。


あたしの不安は、限度とかないのかな。

……なんか、どんどんわがままになってってる気がする。


最初は、亮に笑いかけてもらえるだけで嬉しかったのに。

亮があたしを好きだって言ってくれただけで幸せで仕方なかったのに。

……亮に、あたし以外を見て欲しくないなんて思うなんて。


どうかしてる。


これが『恋』っていうなら、『恋』って、キレイな感情だけじゃないのかもしれない。


嬉しさだとか、楽しさと同じくらいある苦しさに、あたしは大きくため息を吐き出した。



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