イジワルな恋人
「それもあるけど……亮がつけてるんだけど、それがいい香りだから……」
「あー、彼氏の匂いって特別だもんね!
一人でいてもその香水つけるだけでドキドキするし」
梓の話を聞きながら、どんどんふわふわになっていく自分の髪を鏡越しに見てた。
梓の器用な手つきに感心していると、愛が元気よく声をあげて近づいてくる。
「あっ! 奈緒が髪巻いてる! えー、どういう心境の変化?」
「あ、愛、桜木先輩のつけてる香水何だか知ってる?」
髪を巻ながら梓が聞く。
愛は前の席に座って足を組みながら首をかしげた。
「えっとねー……あれだ! RUのメンズ。あれいいよねー、女の子がつけてても違和感ないし。
なに? 奈緒買うの?」
「……うん。そうしよっかなって」
照れながら言ったあたしを見て、愛がニヤニヤと笑い出だして……。
「そんなキスマークまでつけて本当にラブラブなんだからー。……で、やっちゃったの?」
「……っ!!」
愛の言葉に、否定しようと勢いよく立ち上がる。
「あっ、こら!」
だけど、すかさず梓のつっこみが入って……仕方なく座り直す。そして、口を尖らせた。