イジワルな恋人
「ん」
会計を済ませた亮が、キレイにラッピングされた香水を差し出す。
「……ありがとう」
「俺、今日初めて給料もらったから。
おまえに何かやろうと思ってたしちょうどよかった」
「え……、」
……これ、亮のバイト代で買ってくれたの?
亮が、したこともないバイト頑張って稼いだお金で……?
「……行くぞ」
そう言って手を差し出す亮の腕に、嬉しくなって飛びつく。
「ありがとう……。大切にするね」
気持ちを隠しきれなくて、笑顔を浮かべながら見上げたあたしの目に映ったのは……、
亮の優しい笑顔だった。
『好き』に、限度ってないのかな。
あたし、どんどん亮が好きになっていくみたい……。
亮の笑顔に、優しさに、気持ちが溢れ出て身体中に回っちゃったみたいに、全身がドキドキしてる。
それが、繋いだ手から伝わっちゃいそうで恥ずかしい……。
手を繋いで、隣を大人しく歩くあたしを、亮が不思議そうに眺めていた。