イジワルな恋人


「あ……なんか、途中で会って、送ってくれて……」


……告白された事は言ったほうがいい?

そんな事を考えていたあたしの耳に、いつもより低い声が聞こえた。

まだ怒ってるみたいなそんな声。


「ふぅん……俺には来るなっつったよな」

「違うよっ! 本当にたまたま会って、断れなくて……」


怒ってるのか確認したくて、振り返ろうと亮の腕の中でもがく。

でも、どうやっても離してくれなくて。


「……亮?!」

「今顔見たら許さねぇ」


背中越しに響く亮の声に、意味が分からなくて顔を歪める。

……なにそれ。

意味わかんないよ。


……―――もしかして、


「……やきもち?」


緩むことのない亮の腕をそっと触りながら聞く。


「……違う」


返ってきたのは、いつもの声だったけど……あたしは笑みをこぼした。

バレないように、声に出さないで顔を緩ませる。


……亮、聞こえちゃったよ。

伝わっちゃったよ。

動揺した亮の心臓の音。



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