イジワルな恋人
「それよりさぁ、亮誰か女の子紹介しろよー。
俺ずっと彼女いないんだけど。いるだろ、一人くらい。
あ、できれば軽くない子で」
すっかりいつも通りの調子に戻った武史に、表情を歪めたまま答える。
「……俺、遊びの女全員切ったし」
冷たくそう言った後、頭にいつかの奈緒の言葉が浮かんだ。
「あ、そういや奈緒の友達が男探してるっつってたっけ……」
さっきの俺の言葉に落ち込んでいた武史が、また目を輝かせる。
「マジ?! 俺紹介してよ!!
俺、こう見えても女の子に対しては真面目だし、自分で言うのも嘘っぽいけど優しいし!」
勢いよく話す武史を見て、小さく笑みをこぼす。
「……ああ、知ってる。ちょっと騒がしいけどな」
外の雨はいつの間にか小雨になっていて、空が少し明るさを取り戻していた。