イジワルな恋人
「おまたせ」
ようやく歩き出した梓と一緒に、亮達に声をかけた。
「初めまして。笹田梓ですっ」
「関武史です。 ……梓ちゃんでいい?」
「はいっ」
2人の初々しい会話にワクワクしながら耳を傾けていたあたしの腕を、亮が引っ張る。
連れられるように歩き出しながら、亮の後ろ姿に聞く。
「亮? どうし……」
「俺達がいても邪魔だろ」
「そっか……そうだね」
しぶしぶ頷いて、その場から離れようとしたあたしを梓が止めた。
「お願いだから一緒にいて! 最初から二人っきりなんて恥ずかしいよっ」
「……俺からもお願いしたいんだけど」
梓と関先輩の言葉にあたしが笑顔でうなづいたのを見て、亮が面倒くさそうにため息をついた。
「……武史、どっか寄るのか?」
「そうだな。ブラブラできる所がいいから~、駅周辺?」
「……俺の車ぎりぎりだし、おまえバスで来いよ」
「はぁ?! 俺だけ? なんで?! 寂しいじゃんっ」