イジワルな恋人
【亮SIDE】
「ちょっと恥ずかしいけどケータイに貼ろうかな。友達とかみんな彼氏のプリクラ……」
さっきから可愛い事ばっか言って笑いかけてくる奈緒に、軽く触れるだけのキスをする。
……と、奈緒はびっくりして俺の胸を押した。
「な、何?! 梓達いるのに!」
「別に……したくなっただけ」
当たり前に言うと、奈緒は何も言えなくなって顔をうつむかせた。
そんな様子を見ながら、追い討ちをかけるように言葉を続ける。
「……これから俺んち来たらもっとすごい事すんのに大丈夫?」
昼間の発言の意味を確認するために言った俺の言葉に……、奈緒は顔を赤くした。
「……意地悪」
赤くなってうつむいてはいるけど、否定はしない。
そんな態度に、俺の方が動揺していた。
「……おまえ、意味わかってる?」
「……わかってる」
直接確認しても首を振ろうとしない奈緒を、動揺しながら見つめていた。
こいつが男が苦手だって事はよく分かってるし、そんなに無理させるつもりもねぇのに……
なんかあったのか?
奈緒の心の変化がわからなくて、困惑する。
離れたところから、武史達の楽しそうな声が聞こえていた。