イジワルな恋人


「難しいな。公立高校だし……」


……確かに、よくサボってたのは知ってるけど……。

でも、そんな……。


落胆を隠せないあたしに、真ちゃんが顔をあげて続ける。


「だからおまえから言って欲しいんだ。さりげなく……サボるなって。

俺は嫌われてるみたいだし、何言っても神経逆なでするだけの気がして。

桜木もおまえの話なら聞くだろ。ようは、出席日数が足りれば問題ない話だから」


微笑んだ真ちゃんが、あたしを優しく見つめる。


その顔は何年も前から変わっていなくて……、なんとなく、健兄がかぶって見えた。


「……うん。話してみる」


少し微笑んで答えた。

真ちゃんのあげた線香が、灰になって崩れていた。



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