イジワルな恋人
気を取り直してカーテンを開けると、初夏の日差しが部屋に差し込んでくる。
とはいうものの、まだ梅雨は明けていなくて、今日の予報も雨マークが付いていた。
晴れ渡った空に微笑んでから、キッチンに向かった。
「……」
「……」
学校に向かう車の中は、やけに静かだった。
あたしだけじゃなくて、亮まで少し照れているみたいで……。
いつもとは違う様子の亮に、余計に緊張する。
「……大丈夫か?」
亮の言葉に、過剰に反応して答える。
「だ、大丈夫っ! ちょっと痛いけどっ……」
返事を聞いた亮が、少し顔を赤くしながら笑う。
「……そういう意味じゃねぇよ。なんか考え込んでるみたいだったから……」
「えっ?! あ……」
勘違いした自分の言葉を思い出して、赤くなった顔を両手で隠しながら亮を見た。
そこにはもう赤い顔の亮はいなくて。
代わりにいた意地悪な顔で笑う亮が、北村さんに聞こえないように耳打ちする。