イジワルな恋人


……ちゃんと考えてるって何を?

留年の事? 

将来の事? 

亮は病院の院長先生の息子だし、やっぱり医療関係に進む予定でいるのかな……。

だけど、そんな話、一度も亮から聞いた事ないし。


聞きたいけど……、多分、亮は聞いて欲しくないんだよね。


何かあるなら、あたしも力になりたいよ。

助けてもらって、守ってもらうだけじゃ嫌だよ……。

あたしだって、亮が好きなんだから。


大切なんだから。





「奈緒―!!」


車を降りた途端、校門で待っていた梓が飛びついてきた。

ちょうど朝連を終えてグランドから戻ってくる生徒とも一緒になって、校門から下駄箱までの道はかなり混雑していた。


「何?! どうかした?」


抱きついたままの梓をなだめながら言うと、潤んだ目で見つめられる。


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