イジワルな恋人


「亮……っ!」


自然と浮かんできた涙をそのままに駆け寄ると、そんなあたしに、亮がふっと笑みをこぼす。


「……なんだよ、その顔。

とりあえず、今日は自宅謹慎で、処分は後で連絡するって。

多分、停学とかだろ」


……停、学?


『出席日数が足りない』

『あと数日サボれば留年』


昨日の真ちゃんの言葉が……頭の中でぐるぐる回る。


「……先輩、こいつ頼みますよ。

……もちろん、俺がいない間だけですけどね」


亮が、中澤先輩に視線を移して言う。


「ああ。……ずっとでも頼まれてやるけどね」


先輩の言葉に、亮は少しだけ笑みを浮かべて……校舎を後にした。

強くなった雨が、音を立てて窓を叩いていた。





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