イジワルな恋人
「亮!」
亮の部屋まで一気に走って、ノックもしないで勢いよくドアを開けると、ベッドに座っていた亮が、あたしの姿に微笑む。
「……やっぱりな。おまえ見た目と違って行動派っつぅか……」
何も言わずに亮を抱き締めた。
ぎゅっとしがみついたあたしに、亮が優しい笑みを浮かべる。
「……心配させてごめんな」
落ち着いた声で言った亮が、抱き締め返す。
優しい腕に……、瞳が再び熱を持ち始める。
「ホントだよ……カッコつけないでよっ!
一人で勝手に決めないでよ!
なんでいつもそうなの……? ずるいよ……」
「……ごめんな」
優しい声が、頭の上から降ってきて、我慢できていた涙が溢れ始める。
「いつも守られてるばっかじゃ嫌なのに……っ。
特待生なんかより、亮の方が大事なのに……っ!
あたしだって……、亮のために何かしてあげたいのに……っ」
「……じゃあしてもらうかな」
「……きゃっ」
亮が急にベットに後ろ向き倒れたから、あたしが押し倒した形になった。
慌てて離れようとしたけど、抱き締める亮の腕が、それを許さなかった。