イジワルな恋人
「授業ならごまかしたよ。調子悪くて帰りましたって。
奈緒普段の態度がいいから先生全然疑わなかったよ」
梓の言葉に……、気持ちが再び曇りだす。
亮は……、
本当にあたしが必要なのかな。
だって……、今回の事は誰がなんて言おうと。
……例え、亮が否定しても。
完全にあたしのせいだ。
亮は、あたしのせいで停学になった。
あたしのせいで……、きっと留年になる。
あたしのせいで……、卒業もできないかもしれない。
全部……、あたしのせいで。
……あたし、なんの為に優等生なんてやってたんだろう。
大切な人を、守る事もできなかったのに……っ。
先生はあたしの言葉なんて信じてくれなかったのに……っ。
どこが『優等生』……?
何が『特待生』なの?
『あたしのせいで……』
『あたしがいなければ……』
あたしが傍にいなければ……、
その方が、亮は幸せだったのかもしれない。
あたしは亮に救われたのに、あ
たしは……亮をこんな目に遭わせる事しかできないなんて……。
胸が痛い。
亮への罪悪感と、亮の優しさに……
押しつぶされそうなほど、胸が痛かった。