イジワルな恋人
「別に、高卒認定試験なんか受けなくたって、留年してダラダラ学校行けば卒業なんかできる。
その方が、おまえのそばにもいられるし……留年も考えた。
けど……一年でも無駄にしたくなかったんだ。
今年試験に受かって、先のこと考えながら大学決めるのが一番いいと思った」
そう言った亮の顔には、迷いなんてなかった。
確かに、今年試験に受かれば、高校に行く必要もないし、18歳でストレートに大学受験ができる。
それは、正しい結論に思える。
……だけど。
「……なんで、そんなに急いでるの?」
今までの亮からは考えられない言葉だったから、不思議に思って聞く。
亮は、困ったように微笑んで。
それから、また真剣な眼差しであたしを見る。