イジワルな恋人
先輩の言葉に驚いて……でもすぐに走り出した。
……あたしだけだと思ってたけど、もしかしたら……。
亮も寂しかった……?
亮も、あたしに会いたいって思ってくれてた……?
言わないだけで……、
思っててくれてたって思ってもいいのかな……。
亮に早く会いたくて、校門までの道を走った。
10月の空は秋晴れで、走ってきる風が少し肌寒く感じる。
校門に近づくと、その近くに止めてある亮の車が見えた。
それだけで、胸が苦しくなる。
亮が乗ってるかどうかもわからないのに……。
ドキドキうるさい心臓を落ち着かせながら、あと少しになった校門までの道を歩く。
車を覗き込むと、亮の姿はなかった。
落ち着く心臓とは反対に、大きなため息が勝手にもれる。
期待……、しちゃった……。
なんだかどうしょうもなく胸が苦しくなって……
涙が出そうになって顔をあげる。
「……俺に用?」
「……っ!」
突然聞こえた声に……、勢いよく振り向いた。
「なんか、最初に会った時みたいだな」
視線の先に……、笑顔を見せる亮の姿があった。
痛いくらいに締め付けられる胸と、こみ上げてくる涙を隠すために、笑顔で口を開く。