イジワルな恋人


【epilogue】


「ね、亮」

「……ん?」


2人で横になったまま、目を合わせる。

初めは逸らしてばかりだった亮の瞳があたしを優しく捕らえるから、胸がきゅっと締めつけられた。


「ずっと……見張っててね」


さっきは上手くできなかった返事を、亮の目を見つめながら言った。

亮は少しだけ驚いた表情を浮かべて、すぐに優しく微笑む。


「頼まれなくてもそうするけど」


返された言葉に思わず笑う。


「ずっと……一緒にいてね」

「ああ。……おまえが嫌だって言っても、離さねぇから安心しろ」


亮と幸せになる約束を交わして、その体に抱きついた。

まだ熱の残る体が、亮のキスでまた火照りだす。

それに気づいた亮が、イジワルな顔で微笑んだ。




あたしにとって、かけがえのない大切な人。


いつも見ていてくれる優しい瞳に、何度も助けられた。

大きくて暖かい手に、何度も守ってもらった。

強引で、でも優しい言葉が、閉じこもっていたあたしを明るい場所まで連れ出してくれた。


戸惑うあたしを……ずっと待っててくれた。


強引だし、少し偉そうだけど。

でも、誰よりも優しくて……少しだけ、イジワルな恋人。



ずっと離れないから。

誰よりも、愛してる。




『イジワルな恋人』―完―


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