イジワルな恋人
【亮SIDE】
季節は春。GWも終わった5月の3週目。
授業中にもかかわらず学校の屋上で寝ていた俺は、昼休み開始を知らせるチャイムの音に眉を潜めた。
……―――んだよ、うるせぇな。
目を開けると、空からは眩しいほどの日差しが注がれていて、心地いい風が髪を揺らしてく。
……いい天気だな。
晴れ渡る空に目を細めながらそんな事を考えていた時、屋上のドアが勢いよく開けられた。
「あ! やっぱりここにいた!」
視線を向けると、隣のクラスの萩原 由利が耳障りな声をあげながら俺に近づいてくるところだった。
「ねぇ、あたし亮のためにお弁当作ってきたんだぁ。
一緒に食べよ」
文末全部にハートが付くような甘ったるい喋り方。
俺の周りに寄りついてくる女は大抵こんな感じの女が多かった。
理由は、俺の外見と家柄にある。
親父譲りの180近い身長に、制服を脱げば絶対に高校生だってバレない自信のある、大人びて整った顔立ち。
……自分で言うのもどうかと思うけど。
周りの視線だとか反応を見て、自分の外見が目立つって事を自覚したのは、もう結構前のこと。