イジワルな恋人
【第三章】 嘘
【奈緒SIDE】
家に帰って、さっそく亮に取ってもらった林檎うさぎを鞄につけた。
指先でつつくと、林檎の被り物を被った二頭身のうさぎが愛らしく揺れる。
その様子を眺めながら、さっきまで一緒にいた亮の事を思い出していた。
ああやって一緒にいると普通の男子高生だな。
……ちょっと偉そうで素直じゃないけど。
学校でもあんなつんつんしなきゃいいのに。
「可愛いキーホルダーだね」
リビングのソファーに座ってるあたしの後ろから、お風呂から出てきたおばあちゃんが声をかける。
「今日友達にもらったの」
「そう。よかったね」
隣に座ったおばあちゃんに笑顔で頷いた後、おばあちゃんは少し言いづらそうに黙ってから口を開く。
「ねぇ、……奈緒ちゃん。
もう高校生だし、好きな人とかいないの?」
おばあちゃんの突然の問い掛けに、あたしはびっくりして……でも、すぐに笑顔を作った。