イジワルな恋人
「おばあちゃんってば。
もうそういうのはしないって、おばあちゃんにも言ったじゃない」
笑いながら言ったのに、おばあちゃんの表情は悲しそうに歪む。
「……奈緒ちゃん。あれは、奈緒ちゃんのせいなんかじゃないよ。
奈緒ちゃんが責任を感じる事なんて……」
「……っ、おばあちゃんっ!」
聞きたくない話に、思わず声を荒らげる。
少しびっくりした様子のおばあちゃんから、あたしは目を逸らした。
「……ごめんね、大きな声だして。
もう寝るね。……おやすみなさい」
笑顔でそう言うと、おばあちゃんも笑顔を返してくれた。
階段を上がろうとして、おばあちゃんの部屋の中にある仏壇に視線が吸い寄せられる。
仏壇の中で笑ってる3人の写真にきゅっと口を閉じて、階段を上がった。