イジワルな恋人
身長160くらいのスラッとした体型。
長い髪は、天然なのか、屋上から注ぐ日差しを受けて栗色に光っていた。
ピンクの薄い唇に、ほっそりとした首。
中でも目立つのは、下ろした前髪から覗く大きな瞳。強い眼差しで男を見つめる女に、惹きつけられてるみたいに目が離せなかった。
「あ、あいつまた告られてんの?」
いつの間にか俺のすぐ後ろにいた由利に、俺は勢いよく振り向く。
「知ってんのか?!」
珍しく大声を出したからか、由利は驚いた様子で答えた。
「う、うん……一年の水谷 奈緒だよ。入学してきた時、結構話題になったじゃん。
うちらの学年の奴も、何人も告白してるの見たし……」
一年……。一つ下か……。
俺があまりに見つめ過ぎたのか、女の視線が俺達を捕らえる。ガラス越しに視線がぶつかる。