イジワルな恋人
「立てるか?」
そう聞いた亮がとても優しい顔をしていて。
あたしは亮の顔を見つめた。
……助けてくれたんだよね。
わざわざこんな場所まで探してくれてんだよね……。
あたしのために―――……
昨日から何度も助けられてる気がして、言葉じゃ足りない気持ちが溢れる。
どうにかして伝えたい気持ちが……。
あたしは、亮の差し出された手を取った。
そして。
「……こんなのが、お礼になるとは思ってないけど……」
亮の手を思いっきり引っ張った。
突然腕を引っ張られた亮はあたしの方に傾いて……
ほんの一瞬、
亮の頬に唇で触れた―――……。