イジワルな恋人
「今日バイトなんだけど、明日土曜で学校もないし、明け方までバイトに入ることになったんだ。
だから今日の帰りは待ってなくて大丈夫だから」
「明け方までって……未成年をそんな時間まで働かせるとこなんかあるのか?」
俺の言葉に、奈緒は少し黙ってから答える。
「店長がいい人で……、あたしがどうしてもってお願いしたらいいって。インターネットカフェなんだけど」
「……おまえ、なんか欲しいモンがあるのか?」
俺の疑問に、奈緒はキョトンとした表情を浮かべた。
「欲しいモノ……あ、新しいお財布が欲しいかな。
あとカーテン変えたいなぁとは思ってるけど」
「そういうモンじゃなくて、もっと金額的に高いやつ。
欲しいモンがあるからそんなバイトばっかしてんだろ?」
「……なんだ、そういう意味か。違うよ、生活費」
奈緒の意外な答えに、俺はすぐに聞き返す。
「なんでおまえがそんなもん稼いでるんだよ。親がする事だろ」
「親は……、死んじゃったから。三年前に、2人とも……」