イジワルな恋人
「やっぱり。こんな時間に何してんだ?」
「……真ちゃん?!」
真ちゃんは、あたしのバックにある太陽の光に目を細めながら笑った。
「真ちゃんこそ何やってるの? ……まさか高校の先生が朝帰り?」
「先生なんだからちゃんと賀川先生って呼びなさい。
これからテニス部の遠征なんだよ。
さすがにこんなに早いとキツいよなぁ……。6時集合とかありえねぇし」
真ちゃんは肩を少し上げて、ため息交じりの苦笑いをこぼす。
「もうおじさんだからね。真ちゃんは」
「賀川先生!」
真ちゃんのでこピンがおでこに当たる。
昔から痛くない真ちゃんのでこピンに思わず笑みが浮かぶ。
「暴力教師。ちゃんと学校ではそう呼びますよー」
「本当、頼むよ。で、水谷は何してたんだ?
……おまえこそ朝帰りじゃないだろうな?
勘弁しろよなぁ……。健に何て報告すれば……」
「違うよ! バイトの帰り……」
言ってから口を塞ぐ。
目の前の真ちゃんは一応、高校の先生であって。
バイトは問題ないにしても、こんな時間までだとさすがに見逃す訳にはいかないだろうし。
……普通の先生なら。