イジワルな恋人


その後すぐに、玄関の閉まる音が聞こえた。

亮が先に行った事に、少しほっとする。


遅刻をつき合わす訳にはいかないもん。

ただでさえ、亮ってあんまり授業でてないみたいだし。

来年三年なんだし内申とか大丈夫なのかな……。


いらない心配をしながら顔を洗って、髪を整えた。

小走りでリビングに行くと、机の上にお弁当が置いてある事に気付いた。


「奈緒ちゃん、くれぐれも気をつけてね」

「うん。お弁当ありがとね。

あ、あとさっきの別に彼氏じゃないから」


そう言って釘を刺してから、玄関のドアを閉める。



門を出たところで、まだ止まってる亮の車に気付いた。


「先行ってって言ったじゃない!」


車のドアを開けてすぐに言うと、あたしを乗せた車がゆっくりと走り出す。


「……別に余裕だろ。今日から体育祭準備で始業遅れんだろ?」


亮があくびをしながら言った言葉に、あたしは思い出した行事に声を上げる。


「あっ、……そっか。金曜日体育祭だっけ……」


……すっかり忘れてた。


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