労働の価値 その3
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だが、
交換する「価値」では、
違っている。

ふたりのあいだで、
たとえば、
50円の「価値」のある小麦と、
50円の「価値」のワインとが、
交換される。

このとき、
交換で、
「価値」は、
増えないのだ。

もともとふたりがもっていた、
50円の「価値」が、
小麦とワインで入れかわっただけだ。

これがさらに、
このふたりのあいだに、
おかねが入り…

…売りと買いが、
なんとなく、
べつべつになっていっても…

…同じことだ。

今日、
50円の「価値」のある小麦が、
ヒゲ男のもとへ行き、
ヒゲは丸に、
50円を払う。

明日、
50円の「価値」のワインが、
丸顔農夫のところへ、
行く。

丸はヒゲに、
50円を払う。

おかねは、
増えも、
減りも、
しないのだ。

商品の「価値」は、
流れに入る前に、
ねだんとして、
あらわれている。

流れる前に、
決まっていることだ。

流れたあとで、
決まったことでは、
ないのである。

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