遺書~私、消えないように~
* * *

-伊藤やこ死亡まであと2年-


「やこ、学校はどうだ」
「・・・・普通じゃなんじゃない?」


雨の降る5月。
ソファに座り、雨が降っている外を眺めながら私はどうでもいいように答える。


私は4人家族の長女、父「泰樹」、母「梢」、そして2つ下の弟「永太」。

近所では「仲のいい家族」と思われてるらしいけど、
実際そうでもない。


お父さんはAD(アダルトチルドレン)

お母さんはOD【オーバードーズ(薬などの過剰な大量摂取)】

永太はクラスでイジメにあっている。


親にいたっては気に入らないことがあるとすぐ殴ったり。

それでも親が警察や病院にお世話にならないのは、私が一人で頑張っているから。



生まれてきて12年、楽しかった思いなんて一度もしてない。

こんな、親だからしょうがないか・・・。


「やこ、授業のほうはどうだ、ついていけるか」

なんかイラっときた。
「・・・そっちこそ仕事行ってんの?」
「・・・っ」
「また無断欠勤?いい加減やめれば?私がかわりに働くよ」

私は、足を組んでお父さんが座ってる椅子に目を向ける。


「なんで!やこっ!そんなこと言うんだよ!!しょうがないじゃないか!!会社には俺の居場所なんてっ!ないんだから!!!」

私はソファから立ち上がった。
目を見開き息が荒くなってるお父さんをよそにわたしは自分の部屋へと向かった。

すれ違う少し前に

「そう」と、

だけ言い残して


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