遺書~私、消えないように~
「おら、餓鬼は粗茶でいいな。初代S様は牛乳。よし決まり」
聖也にソファで猫と座ってろと促される。
「私、コーヒーがいいなー」
「これまた・・・わがままなお姫様ですねぇ」
「粗茶なんてないくせ・・・・・」
いい終わる前にケータイの着信音に遮られた。
「誰誰?彼氏?」
「いるわけないじゃない。ん~と・・・・・・は?永太!?」
間違いなく着信に【永太】の文字。
思わずため息。
弟の永太から電話が来る時はいじめられたか、親のどっちかが荒れ狂っ・・・・・・暴れている時のどっちかだけ。
心配になってすぐに出た。
「わた『お姉ちゃん!!!』・・・・・なに?」
『僕・・・いま帰ってきたんだけど、お父さんがなんか荒れてるよぉっ!!!こわいよ~ぉ・・・・』
「男でしょ・・・・めそめそすんな」
すぐに玄関に向かって歩き出す。いち早く家を出られるように。
「うん・・・・」
「いい?2、3日分の着替えと学校に必要なもの用意してなさい。」
『わかったから早く来てねっ!!!』
「今行くから。」
そういって電話を切った。
「なんだって?伯父さんはしゃいでるって?」
「・・・・・・・ハァ。それじゃあ帰るね」
「・・・仕方ないからついていってあげる。やこ1人じゃ危ないしね。」
「ん、わかった。後悔すんなよ」
私は聖也を残して家を出た。
後から靴を履き終えた聖也がついてきた。
道路を突っ切り急いでカードキーを使ってエントランスの鍵を開ける。
エレベーターは面倒くさいから階段を5階まで駆け上がる。
「聖也、靴は脱がないであがって。いや、脱ぐな。」
「・・・・・・は?」