サプライズで彼女の家に行ったら知らない男とキスしてた
俺、木下尚と崎山比呂子とは小学も中学も高校も大学までも一緒の、いわゆる腐れ縁だ。
地元の長野じゃ、家も隣だわ、親同士も友達だわで、どこへ行ってもこの崎山が絡んでいた。
いわゆる幼馴染なんだが、特別気が合うわけでもない。どっちかって言うと喧嘩ばっかりだった。
高校まで一緒となると、さすがに俺も崎山もうんざりしたけど、志望大学がみごとにかぶったときはマジでびっくりした。めまいすら覚えた。「なんでまたお前と!」と崎山にビンタすらされた。あの驚きと痛みは忘れない。
だが、大学は東京だ!全校生徒90名の弱小中学校とは違う、違うのだよ!ざまあみろ!
東京で借りたアパートも、崎山が利用する寮とは3駅離れているし、これでダッセェ幼馴染の腐れ縁がやっと断ち切れたと思った。
それから、俺は流されるように適当なサークルに入り、流されるように適当なバイトを始め、流されるように参加させられた合コンで、今の彼女と出会った。
初めて彼女の住むマンションに行ったとき、隣の部屋から崎山が出てきたときは口から心臓が飛び出るかと思った。まさか同じマンションとは思いもしなかった。
そして地元が同じなので、半分覚悟はしていたのだが当たり前のように、今回の合宿も崎山と同じだった。
合宿中に顔を合わすことはなぜか一度も無かったし、合宿後半ごろには俺の頭は彼女でいっぱいだったから崎山のことなんかこれっぽっちも考えなかったのだが……。
まさか、こんなところで出会うとは。