サプライズで彼女の家に行ったら知らない男とキスしてた


  
あかねの部屋の前について、ひとつ、ふたつ、深呼吸をする。




(あかね、どんな顔すっかなー……)



さあ、ベルを押そう、とボタンに手を伸ばしたとき。




「ね、今日、よかったら泊まってかない?」




中から、かすかだけど声が聞こえた。


あかねの声だった。



まさか、バレた?



一瞬ヒヤリとしたが、そんなわけがない。


ボタンを押そうとする手を一旦止めて、俺は耳をすませた。




あかねのほかに、誰か、いる?




「いや、持ち帰るの仕事があるから……今日は遠慮するよ」




男の、声だった。


(お父さん?……いや、ないないないないない!)


頭が真っ白になった。


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