小悪魔†彼氏
目を開ける前に、聞こえた波の音。
ザァッッと・・・
すごく優しい、音だった。
そして、目を開ける。
「わッぁ・・・・」
「びっくりしました?」
目の前に広がるのは海。
そして、水平線に朝日が浮かび、海に反射する。
それは、すごい以外には何にも言い表せることのできないものだった。
「ここはね、地元の人しか入っちゃいけないんだ。危ないから。もう少し行くと崖だし」
「すごい・・・すごいよ!!」
「笑ってくれましたね、先輩」
「えッ・・・」
もしかして・・・私のために・・・?
何か、涙が溢れてくる。
彼はいつも笑顔だった。私の知る限り。
いつだって、私より大人だった。
何もかも知っていた。
それが私にとって負担だった。
私なんて、不似合いだ。
そう思わせる原因でもあった。
でも、私は彼だったら信じれられるかもしれない。
私は・・・橘君を好きになるから・・・。